三七人参は中国南西部(雲南省・四川省・広西省)を原産とするウコギ科の多年草で、別名を田七人参、特に三七、参三七、田三七などとも呼ばれる。和名は人参三七。 珍しいこの三七の名称は、根が生薬とするに必要な大きさに育つのに3?7年かかるからともいわれるが、茎から伸びた3本の枝の先にそれぞれ7枚の葉からつくからともいわれる。同じウコギ科に、北方に産する高麗人参があるが、三七人参は生薬としてまさしくその対抗馬のような存在といえよう。
三七人参は、古くから雲南地方では金不換(金で買えないもの)といわれるほど、数多い生薬の中でも最高級の秘薬としてされてきた。古くから止血作用がよく知られ、本草綱目では戦場での金瘡(切り傷)の要薬としての卓効があるとして、漆のように傷口をしっかり防ぐのでヤマウルシとも記されている。本草綱目拾遺(趙学敏著)は、高麗人参が補気第一であるのに対し、三七人参は補血第一と述べ、精がつくというよりもむしろ力が溢れるように働く三七人参の特徴を指摘している。
一般的には滋養強壮、疲労回復、血圧調整、狭心症、脳出血、自律神経失調症、減肥、美肌効果などが広く知られているが、独自のフードダイナミックス理論による医療を行っている医学博士・重野哲寛の臨床研究によると、三七人参は低血圧の無気力状態から脱出できる一方、高血圧の血圧降下作用を併せ持ち、また慢性肝炎や肝硬変ではGTO、GPT値が低下、慢性肝炎では尿の潜血反応が陰性になるなどの効果があるとしている。横田直美による「インターフェロンが適応しなかった慢性C型肝炎の改善例」報告(日本東洋医学会、1995年)も、三七人参の新局面を示唆している。
また、高麗人参よりも含有量が数倍多く7?12%も含まれる人参サポニンは、血中コレステロールの低下、活性酸素による過酸化脂質生成の抑制、痩身効果などのほか、免疫力増強、核酸の合成促進、血糖値の改善、中枢神経の鎮静などの薬理作用が明らかにされており、サポニンが他の有効成分と相乗的に働いて、ガンやアレルギーあるいはリウマチなど、免疫に関わる異常に対し有効に働くとする研究発表も多い。
抗ガン性に関する研究では、京都薬科大学の木島孝夫が行ったマウスを使った実験がよく知られている(1992年、日本癌学会総会で発表)。それによると、背中に皮膚ガンの発ガン物質を塗ったマウスと、発ガン物質を塗った後に三七人参のエキスを塗ったマウスの腫瘍発生を比べたところ、三七人参エキスを塗ったマウスは発ガンが30%に抑制された。この実験は肝臓ガンと肺ガンについても行われたが、どちらも発ガンが抑えられた。これは、人参サポニンが免疫力の増強に働いていること、また、三七人参に含まれる有機ゲルマニウムが体内のウイルス感染を防ぐ、インターフェロンを誘発させ、これらが相乗的に作用しているからではないかとしている。
三七人参の抗ガン作用に関する研究は京都薬科大学のほか、静岡薬科大学、昭和大学などでも進められている。
中国雲南省の山岳地帯(標高4000mの厳寒地)に自生する紅豆杉は、イチイ科に属する樹木で、2億年前(中生代)から生き残ってきた地球に現存する最古の樹木とされている。平均樹齢は3000年以上、幹周5.6m、樹高21m(平均値、中国科学院調査)の巨木である。近年の研究では、高山や砂漠など過酷な環境に生きる生物ほど、その生命を支えるための特殊な機能物質を体内に豊富に持っていることが明らかにされているが、紅豆杉もまたその例にもれない。万里の長城の建造で知られる秦の始皇帝は不老不死を願ったことでも有名だが、その時代、紅豆杉が塩とともに不老の仙薬に名を連ねていたことが近年明らかにされた。紅豆杉が現代に蘇る契機となったのは、1956年にアメリカの化学者ルーカスが、紅豆杉の抽出物質に抗ガン作用があることを発見したことによる。そして71年には同じくヴァニが、抗ガン物質の一つを単離してタキソールと名づけた。その後、合成方が模索されて注射薬ができ、94年には抗ガン剤としてFDA(アメリカ食品違約局)が認可している。日本でも97年に抗ガン剤(保険の適用は卵巣ガン・乳がん・子宮ガン・肺ガン)として認可、今では世界50数カ国で使われている。
一方、薬剤としてではなく、天然剤としての紅豆杉についても、その薬理研究が進んでいる。富山医科薬科大学和漢研究所の門田重利は、日本薬学第122回年会(2002年)で、紅豆杉のガン細胞に対する作用木序を明らかにした発表を行っている。また、金沢医科大学の平井圭一は、紅豆杉の天然成分が、?正常細胞を傷つけず、ガン細胞だけを狙い撃ちして増殖を阻害し、死滅させる選択的抗ガン性がある、?特異な直接攻撃でガン細胞を自然死(アポトーシス)させる、?免疫賦活作用を併せ持つ、という研究成果を第41回日本癌治療学会(2003年)で発表している。
紅豆杉にはまた、花粉症などのアレルギーに対しても顕著な改善作用のあることが、北里大学の岡野哲郎らの研究グループによって明らかにされている。実験は、まず最初にマウスを使ってスギ花粉(抗原)に反応する実験用の細胞を調整し、この細胞群にスギ花粉抗原とともに紅豆杉茶を入れ、ヒスタミンやEPOの放出量を調べた。紅豆杉茶は3種類の濃度を用意し、対照には麦茶を用いた。結果は、ヒスタミンの場合も、RPOの場合も、紅豆杉茶の濃度を濃くするほど放出が大幅に減少し、EPOでは紅豆杉茶10ulの濃度でゼロになるという結果を得ている。
また、この実験と平行して、スギ花粉のメッカである東京・奥多摩の診療所と、花粉が比較的少ない都心の港区の病院患者を対象として、紅豆杉茶の飲用による花粉症改善の臨床試験も行われている。その結果、花粉が少ない都心での病院では、くしゃみを除く全症状(鼻水、鼻閉、鼻・のど・目の痒み、涙目)で、ほぼ100%の改善効果が得られたという。